気象予報士がみた世界の空

観測隊員がみた!知られざる極寒の地、南極の実態

T.M | 対象月: 1月 | 更新 2015.1.16
気象予報士が体験!現地の情報

知られざる土地、南極

南極の季節は日本と正反対。日本が冬だと南極では夏!しかも、夏季は白夜で一日中太陽が沈みません。
日本の南極観測の拠点である昭和基地は、実は南極大陸ではなく、東オングル島という島の上にあります。
(島国に住む日本人の宿命なのでしょうか・・・)

そんな昭和基地周辺では・・・

夏は意外にも温暖?

南極大陸では、「カタバ風」という特有の風が吹いています。これは、大陸中心部の分厚い氷の上で生まれた乾燥した冷たい空気が、大陸の外側に向かって斜面を下ってくる強風のことで、昭和基地でもこの風が吹くことがあります。
しかし、基地は大陸から約4kmほど離れた島にあることから、カタバ風の影響が少なく、内陸の基地と比べても比較的温暖で風もそれほど強くはありません。このためか、南極大陸の上とは違って、夏季は意外にも氷が融けて岩肌が現れるところも。
温暖と言えば、私が昭和基地に到着して間もないころ(2012/12/22)、なんと雨が降りました。9年ぶりということでしたが、予想していませんでした。

南極でブリと言えば

そんな昭和基地でも、そこは南極、夏でも時々「ブリザード」がやってきます。
「ブリザード」とは、吹雪を伴った冷たい強風のことで、昭和基地付近では沖合を発達した低気圧が通過するときに、北から暖かく湿った空気が入り込み、大陸の乾いた冷たい空気とぶつかりあって発生します。
こんな時、視界不良で周囲がほとんど見えなくなる「ホワイトアウト」になることがあります。
「ホワイトアウト」は日本の積雪地でも見られる現象ですが、不運にもこの現象に遭遇したら、まずは落ち着いて!一方向を辛抱強く見つめていると、きっと何か目印となるものが見えてくるはず。それを頼りに安全な場所に移動しましょう。
基地内の建物は、用途によってカラフルに色分けされていますが、これには自分が今どこにいるのかを分かりやすくする効果があります。過去に猛吹雪の中、一瞬見えた建物の色と形で自分の進むべき方向がわかって、事なきを得た人は少なからずおられるようです。
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冬はやっぱり過酷

夏は比較的温暖な昭和基地でも、冬になると気温はマイナス40℃以下になることや、風速が60m/s(瞬間)以上吹くこともあります。

南極と言えばオーロラ?

オーロラは、磁極を取り囲むように帯状に分布したオーロラ帯で発生します。昭和基地はちょうどオーロラ帯の下にあり、オーロラ観測に適した場所です。夏季は白夜のため見ることはできませんが、冬季は幻想的なオーロラを見ることができます。
[記事監修:齊藤愛子(気象予報士)]
参考資料・URL
オーロラの写真:54次日本南極地域観測隊の小原隊員(越冬)撮影

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